「今、ここ」(なぜ大人になると時間が過ぎるのが早く感じるのか?その11)【チャレジョブセンター浦和】

みなさんこんにちは。
就労移行支援事業所チャレジョブセンター浦和 職員の町田です。
 
さて、
ーーーチンパンジーは「今、ここ」を生き切っているーーー
 
そう聞いて、皆さんはどう感じられますか?
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※写真はイメージです。(以下、同じ)
 
「人間もたいして変わりないはずじゃない?」、
「どのへんが?」、
「たまたまそう見えるってだけじゃない?」…、
いろいろなご意見が聞こえてきそうです。
 
前回10回まで続けてきました「なぜ大人になると時間が過ぎるのが早く感じるのか?」のテーマともつながりますので、少々書かせていただきます。
 
以下は、主に後述の参考書籍①をベースにしています。
 
チンパンジーと人間は、生物35億~40億年としてはごく最近の約500万年前に共通の祖先から分かれたと考えられています。
また、ゲノム解析によると、DNAの塩基配列は約98.8%が同じで、違いはわずか1.2%ほどです。
 
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それでも、京都大学霊長類研究所(現在、ヒト行動進化研究センター等へ改編)の研究によると、私たち人間とチンパンジーの「能力」にはかなりの違いがあります。
 
たとえば、一瞬で消えた複数の数字を記憶できる能力です。
チンパンジーに1~9までの数字をコンピュータの画面のランダムな位置に瞬間的に出し、1から順に映し出された位置を触っていってもらうというテストが行われました。触っていく際には、他の数字はすべて消え、白い四角になってしまいます。
  
 
 
そのテストでは、一瞬で記憶する能力、またそれを10秒以上保つ能力は、人間を遙かに凌ぐものであったそうです。
さらに、通常人間はどんなに訓練を積んでも、この短期記憶については、平均的なチンパンジーにも到底及ばなかったそうです。
この能力は、直感像記憶、あるいは映像記憶、写真記憶とも呼ばれます。
 
人間の脳は、チンパンジーの脳の容積の約3倍あるそうです。
では、それほど大きな脳のリソースを人間はいったいどこに使っているのでしょう・・・?
 
 
先ほどの参考書籍①で私がもっとも感心したエピソードをもう一つご紹介します。
それは「レオ」という当時24歳のチンパンジーのお話です。
 
「レオ」は2006年に、突然首から下がマヒし、急性脊髄炎、と診断されました。
一時は体重も半分近くにまで減り、ひどい床ずれ(褥瘡)ができてしまったそうです。
 
人間であれば絶望しかねない状態でも、「レオ」は介護してくれるスタッフが近づくと、口に含んだ水をピュッと吹きかけたりするイタズラをして、スタッフが驚くと嬉しそうにキャキャッと笑っていたそうです。
 
 
なぜレオはそんな悲惨な状況でも、悲観したり、落ち込んだりした姿を見せなかったのでしょうか・・・?
 
著者は、「チンパンジーは「今、ここ」の世界を生き切ってているからです」と結論付けています。
過去を参照して「こんなはずでは・・・」と悔やむこともなければ、将来を悲観して「もうだめだ・・・」落ち込むこともない、と。
(ちなみに、期待した餌が得られない際に悔んだり、悲しそうな顔をしたりすることは当然あるそうです。)
 
私は、この「今、ここ」というキーワードを、20代で受けた研修で、講師の心理士の先生から初めて聞いた思い出があります。
その後も、マインドフルネスなど、いろいろな場面で「今、ここ」に集中することの大切さを耳にする場面を経験してきました。
 
もしチンパンジーが私たちに「今、ここ」を生きるコツを伝えてくれたら…、きっとどんなにか素晴らしいコーチになってくれるでしょう。
 
またおそらく、チンパンジーは若い頃と比べて、「ああ時間が過ぎるのが早くなった…」と感じたりはせずに、純粋に「今、ここ」を生きているのではないでしょうか。
 
いっぽうで、人間はこの過去を振り返り、将来を想像する力を伸ばしたからこそ、今日までサバイブしてこられたのかもしれません。
 
我田引水になりますが、就職活動でも、これまでの経歴を振り返ったり、就職後の将来を想像する力は必要です。
 
反対に、以前のことを過度に悔んだり、今後のことを心配し過ぎずに、その日の訓練や求人検索、履歴書作成など、今ここで取り組むことに集中することも大切です。
 
両方の「力」を上手に使って、ご一緒に就活を進めて行けたらいいな…、そんなことも考えています。
 
 
参考書籍
①『想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心』
 岩波書店 松沢 哲郎 (著)
 
②『新しいチンパンジー学――わたしたちはいま「隣人」をどこまで知っているのか?』
 青土社 クレイグ・スタンフォード (著), 的場 知之 (翻訳)
 
③『チンパンジーはなぜヒトにならなかったのか 99パーセント遺伝子が一致するのに似ても似つかぬ兄弟』 講談社 ジョン・コーエン (著), 大野 晶子 (翻訳)
 
 
 
(同タイトルリンク その1~その10)
 

※なぜ大人になると時間が過ぎるのが早く感じるのか?

⇒クリックで、リンクにとびます。

(その1)「前書き」 
 
(その2)「ジャネーの法則」(ジャネの法則)
(その3)「ジャネーの法則 私版」
 
(その4)「ライフキャリア・レインボー」
 https://www.challe-job.co.jp/12819/
 
(その5)「そもそもキャリアって何?」
 
(その6)「あらためてライフキャリア・レインボーについて」
 
(その7)「トキメキと時間感覚」
 
(その8)「脳の時間刻み(クロック数)は増やせるか?」
 
(その9)「フロー体験、子どもの絵の世界」
(その10)「アキレスと亀」
 

(参考) 5月16日のブログ 「旅行の日(5/16)に・・・!」 

 
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