障害者雇用の現状ってどうなのですか?
みなさんこんにちは。チャレジョブセンター桶川です。
私が障がい福祉分野で、現在の就労継続支援B型事業所にイメージが近い、精神障がい者共同作業所の職員になったのは、約22年前の2001年(平成13年)でした。
その頃から比べますと、さまざまな面で障害者雇用の制度や環境が整えられてきています。
当時、私が勤めていた作業所のメンバーさん(ご利用者様)で、さらにステップアップして、会社などでの一般就労を目指す方が何名かいらっしゃいました。
そうした方々は、主にハローワークの専門窓口に相談に行かれるていたものの、まだ障害者雇用率制度の対象ではありませんでした。
精神障がいの方々が障害者雇用率制度の対象とされるようになりましたのは、17年前の2006年(平成18) 年 からです。
さらに雇用義務となったのが2018年(平成30年)からでした。
こうしたことから、この10年弱で精神障がいの方々の雇用の伸び率が大きくなり、当時とは隔世の感があります。(下記グラフ参照)
「厚生労働省 令和4年 障害者雇用状況の集計結果」より
さらに、厚生労働省がまとめた、令和4年6月1日現在の「障害者雇用状況」集計結果をあらためて見てみましょう。
なお、「障害者雇用の現状ってどうなのですか?」といったご質問を弊所にくださる方々の中には、「私は採用されるでしょうか? (統計がどうこうではなくて…)」ということをおっしゃりたいのかも、と感じることもあります。
もしそうだとしましても、基本的な前提を確認して、共通認識にしておくことはとても大切です。よかったらもう少々、数字的なことについて、お付き合いください。
以下、特別な注意書きのない場合は、令和4年6月1日現在の数値です。
まずは【民間企業】から見てみましょう。
法定雇用率は、2.3%です。
この「法定雇用率」とは、障害者雇用促進法に基づき、労働者(失業者を含む)に対する対象障害者である労働者(失業者を含む)の割合のことです。
2.3%ということは、常用雇用者を43.5人以上雇用している企業は障害者を1人以上雇用する必要がある、ということです。
(2.3% = 2.3/100 ≒ 43.5)
雇用障害者数、実雇用率とも、過去最高となっています。
・雇用障害者数 61万3,958.0人
・対前年差 1万6,172.0人の増加
・対前年比 2.7%増加
・実雇用率 2.25%
・対前年比 0.05ポイント上昇
また、法定雇用率達成企業の割合は48.3%で、対前年比1.3ポイント上昇しました。
次が、【公的機関】です。
法定雇用率は2.6%。
都道府県などの教育委員会は2.5%です。 ※( )は前年の値をあらわしています。
雇用障害者数、実雇用率ともに対前年で上回っています。
・国 : 雇用障害者数 9,703.0人
(9,605.0人)
実雇用率 2.85%(2.83%)
・都道府県: 雇用障害者数 1万409.0人
(1万143.5人)
実雇用率 2.86%(2.81%)
・市町村 : 雇用障害者数 3万4,535.5人
(3万3,369.5人)
実雇用率2.57%(2.51%)
・教育委員会: 雇用障害者数 1万6,501.0人
(1万6,106.5人)
実雇用率2.27%(2.21%)
最後が、【独立行政法人など】(※)です。
独立行政法人の法定雇用率は、同2.6%です。( )内は前年数値です。
・独立行政法人:雇用障害者数 1万2,420.5人
(1万2,244.5人)
実雇用率 2.72%(2.69%)
ここまで、数値的な障害者雇用の推移と現状を見てきました。 私が作業所で働き始めた2001年(平成13年)の数値は、上記のグラフにはもう載っていませんが、翌年の2002年(平成14年)からは掲載されています。
その年を見ますと、2002年(平成14年)は、精神障がい者の方の数値は読み取れません。これは、精神障がいの方々が障害者雇用率制度の対象(障害者雇用として数えられること)となったのが2006年(平成18年)からだったためです。(下記、再掲資料参照)
雇用率等の統計上はこのように表されますが、2006年(平成18年)より前に、企業等で働いていた精神障が者の方々がいなかった、ということではありません。
たとえば、職域開発援助事業が2002年(平成 14年)に職場適応援助者(ジョブコーチ)事業へと発展し、精神障がい者の方々の雇用や就業支援に大きな役割を果たしてきました。 また、ハローワークの精神障害者支援機能も段階的に強められてきました。
1993年(平成5年)年に精神障害者職業相談員が配置され、2011(平成23)年からは精神障害者雇用トータルサポーターへと発展しました。
ただ、障がい種別に関わらず、「そうは言ってもなかなか書類選考や面接に通らないんだよなぁ…」という感触を持っていらっしゃる方が一定数いらっしゃることも事実のようです。
現状の障害者雇用制度やその発展度合いは、理想的なゴールにたどり着いた、ということではなく、10年後、20年後に振り返った場合「あの頃も、まだ過渡期だった」と言うことになるかも知れない、と感じています。
例えば、令和4年度の法定雇用率の未達成企業は55,684社ありました。 そのうち、障がい者の方を一人も雇用していない企業は32,342社あり、未達成企業の58.1%を占めていました。こうしたそもそもの障害者雇用の拡充課題もいまだにあります。
その他、「合理的配慮」(別途、後日述べます)の具体的な中身の精査、充実ですとか、テレワーク(在宅勤務)の拡充、デジタル化、あるいは起業、複業、副業といった柔軟な働き方への対応などについても、これから改善が図られていくと思われる課題です。
これらの状況の改善や変化は一朝一夕にはいきませんので、なかなか就職活動が思うようにいかないですとか、採用されても働き続けることが難しいといったことに悩まれているようでしたら、ご自身に合った会社さんはどんな会社かについてや、ご自身が続けやすい仕事内容、職場の人間関係について、再度お考えを深め、整理されるとよいと思います。
このあたりのことにつきましても、引き続きブログに掲載させていただきます。
見学や体験、ご相談も随時受け付けています。どうぞお気軽にご連絡ください! (*^-^*)
(参考資料) 厚生労働省 令和4年 障害者雇用状況の集計結果
(※)独立行政法人には…
・中期目標管理法人
・国立研究開発法人
・行政執行法人の三類型があります。
広義には、国立大学法人も独立行政法人とみなされます。
独立行政法人通則法に基づいて、国民生活や社会・経済安定など公共の視点から、国が主体として実施する必要はないものの民間委託は不適切であるとされたものを、効率的効果的に実施させるために設立された法人です。
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